寂しさ

外出先でどうしてもコーヒーが飲みたくなって、ファーストフード店に寄る。
ゆっくり座って飲んでいる時間がなかったので、お持ち帰りにして、車の中で飲んでいたのだけれど、いつもよりなんだか不味い。
この店は店内で飲む時は大きめの陶器のマグなのだけれど、お持ち帰りはもちろん紙コップ。
紙の匂いがするのかとも思ったのですが、私の鼻は鈍感ですからねぇ。そんなことは無いと思う。


ファーストフード店のコーヒーに期待をしてはいけないのだけれど、思っていたのより不味いというのは、ちょっとね。
多分いつもと中身は変わらない。変わったのは陶器のマグか紙コップかの違い。
紙コップで飲むとたとえ中身が一緒でも、きっと不味く感じるんだなぁ。あのふにゃふにゃとした安定感の無さや安っぽさがきっとダメなんですね。
飲んだシチュエーションも悪いよなぁ。車の中でこぼしそうになりながら、ふぅふぅして飲んでるんだもん。しかも運転中。
たとえ大して美味しい訳ではないコーヒーでも、ゆったりと座って安定感のあるマグで飲んだ方が美味しいに決まっている。


物が美味しいとか不味いとか、味の問題だけじゃなくてその時の状況に左右されるんだよなぁ。
たとえファミレスのご飯でも素敵な人と一緒に食べれば、それだけで美味しい。
たとえどんなに腕を奮って手の込んだ料理を作っても、一人でテレビ見ながら食べていたら美味しいはずが無い。


寂しいっていうのはこういうことなのかもしれない。
美味しい料理も、面白い映画も、何をやってもなんだかいつも2割減くらいしか手に入れられない。
なんとなくいつも空虚で、何をやってもつまらない。こういうのが寂しいっていうことなんだなと思う。
誰かと一緒にいることで、寂しさを紛らわす人もいるけれど、それは格好悪いなぁ。ひとりでいても充実していれば寂しくないのだから。


今日の紙コップのコーヒーは寂しかったのですよ。
落ち着く場もなく、ただ流し込むだけのコーヒーは本当に味気なかった。たった10分程度の時間もとれない程、気持ちに余裕も無くあくせくしている自分が寂しかった。