せつない話し。

昨日飲みに行った時、そこで働いているKくんが「僕、来月で辞めるんです。」と言い出した。
Kくんとはそれほど長い付き合いではないけれど、そう言われるとなんだかやっぱり寂しい。
彼はいつもちょっぴり切なくて、笑える話しを提供してくれる。そしてその話しは大抵、どんくさい。


この間会ったときは、新車で買ったバイクをたった3日で廃車にしてしまったと言いながら、足を引きずっていた。
その前に会ったときは、車のスピード違反で、一発免停。「僕の10万円が〜」と言いながら泣いていた。(どこかで聞いた話ですね。)
確かその前は、手に包帯を巻いていた。お店のグラスを大量に割ってしまって、片付ける時にザックリと・・・
あ〜もうどんくさい。そこが彼の良さでもあるのだけれど、要領悪いよ〜
彼はボトル一本を磨きはじめると、店にあるボトルを全部磨き上げなければ気が済まないっていう性格だ。
いつも何かをこつこつとやっていて、決して近道をしようとしない。いや近道を知らないのだし、知ろうともしない。


今回の転職もそんなKくんらしいと思う。
彼は10月から東京の法務省に勤務することが決まった。きっとこつこつと勉強して試験に受かったのでしょう。努力が実った瞬間だったはず。おめでとう。
でもKくんの顔色は冴えない。嬉しいはずなのに、やっぱり切なそうな顔をしている。
彼には好きな女の子がいる。でもまだ好きって言えずにいた。いよいよこれからって時だったらしい。
「でも僕、東京に行っちゃいますからね。このまま行ってしまったらきっと彼女に忘れられる。それって寂しいですよね。告白してもし付き合えることになったとしても、彼女を悲しませるだけ。ちゃ〜んと振られてるのが一番いいのかなぁ、なんて思うんですけど、やっぱり振られるのは恐いんですよ。」
あぁぁ。。せつない。
せっかく試験に受かってめでたい話しなのに、タイミングが悪いよ。Kくんにもう少し時間が残されていれば、いいのに。
彼女とちゃんと付き合って、遠距離でも耐えられる程の関係を築けていれば、よかったのに。
振られたとしても心の整理が出来る時間をあげたかった。
今のままじゃ、やっぱり告白も出来ないんだろうな。当たって碎けろ!って言いたいけど、優しい彼はきっと彼女への思いを抱えたまま、東京へ行ってしまうのだろうな〜


でもあと一か月ありますよね。それまで彼がどうあがいてゆくのか、見守っていよう。
そして、Kくんが勤務最後の日。お花を持ってお店に行こうと思います。