ご機嫌斜めよ〜

 今日の私はなんとなくご機嫌斜めで、いや、本当はなんとなくなんかじゃなくて理由があるんだけれど、あまりにも幼稚なバカバカしい理由だから誰にも言えなくて、ただ言葉数が少なくうつむき加減で、誰とも目を合わせられなかった。
 きっと私の機嫌が悪いことなんて気が付かれていて、「おねぇさん、アノ日なのかしら?」なんて思われていたかもしれないけど、全然そんなんじゃなくて、でも誰も私の機嫌のことなんか触れないでいてくれて、「優しいなぁ」って思いながらもそれじゃあまりにも私がわがまま女みたいだから「突っ込めよ!」とか思っていたけれど、放っておかれていた。きっとみんな放置プレイが好きなんだわって思ったんだけど、本当は、私が放置されるのが好きなんだと思う。だって構われたらムカつくし、どうせ理由なんて言う気全然無いし。
 本当はにっこり笑って「何でもありませんわ〜おほほ〜」なんて言いたかったんだけど、どうせ突っ込まれてもあまりにもご機嫌斜めでそんな取り繕いも出来る余裕もないのだから、やっぱり放置プレイ好きな人に囲まれてしあわせなんだなぁって思った。
 もやもやと不機嫌な気分のまま家に帰ってきたら、サンタさんがニコニコと笑っているグリーティングカードが届いて、そのニコニコしているのがすごく可愛いんだけど、その送り主がついさっきまで会っていた人で、会っていた時はクリスマスの話しなんて微塵もしなくて、っていうか、私がご機嫌斜めであまりしゃべらなかったからかもしれないけど。
 そのカードには「また明日ね」とか書かれていて、どうしてクリスマスカードに「また明日ね」なのかよく分からないと思いながらもやっぱり私がご機嫌斜めだったから、「明日は機嫌直してね」っていう意味なのかな?って思いながらもそんな簡単に機嫌なんて治るかぁ〜って思った。
 でもでも、やっぱり私の幼稚なご機嫌斜めで人に気を遣わせてしまったのは事実で、でもそんな風に気を遣うくらいならやっぱり突っ込んでくれれば良かったのにって思ったんだけど、やっぱり私は突っ込まれたく無いとか言いながら突っ込まれることを待っていたんだろうか?って思ったら、それもまた幼稚すぎて自分のこと笑い出しそうになった。
 明日になったらやっぱりごめんなさいって言おうと思ったんだけど、そうしたら私がご機嫌斜めの理由も言わなくちゃならなくなりそうだから、やっぱりごめんなさいは心の中にしまっておこうと思って、そう思いながら見たカードのサンタさんはいつまでもニコニコと笑っていてなんだか少し涙ぐんだ。