春夏秋冬

 唐突だけれど、ずっと思っていたことを。
 全ての事象には栄枯盛衰があって、浮き沈みしながら移ろってゆく。それが短波だとすれば長波は春夏秋冬。
 人の人生だって同じだろうと思う。
 人生80年だとすれば、20才までの芽吹くような春。燃立つ30代、40代の夏。収穫の50代、60代の秋。しんしんと静まり返るような後の人生が冬。
 その中でも個々に栄枯盛衰を繰り返しながら、でも生としてはこんな感じなのではないだろうか。


 ここ数年、ずっと思っていたのだけれど、それを人類や地球規模で考えたときに、今どの辺りにいるんだろうか。。。 
 地球なんて壮大に考えるとよく解らなくなってくるけれど、人類は晩秋に差し掛かっているのではないのかなぁ、と。いや、人類じゃなくて、日本なのかもしれない。
 日本は間違いなく、もう晩秋なのだろうと。
 すごく悲観的な考え方なのかもしれないけれど、この国はどこへ向かおうとしているのか。もう後戻りが出来ないほど、蝕まれているのではないだろうか。国家としてはもちろん、その国に住む私たちの心も。
 国という大きなものでさえ、個々の人間の集合体に過ぎない。個々の人間が腐ってしまえば国も滅ぶ。だからこそ個々人を大切にしなきゃならないって思うんだけど、小さなものがないがしろにされている今のこの世界じゃ後は加速的に衰退して行くだけのような気がする。
 母体が大きくなればなるほど、末端に目がいかないのは仕方が無い。でも、強者の理論や勝ち負け論に終始した結果が今なのだろうと思う。


 誰もがここ最近起こる殺人事件やら、偽装問題、そんなものを見ていて心が蝕まれているとは感じているはず。心が壊れている。モラルなんてものは存在しない。利益?我欲?壊れた本能?無気力?無感動?
 行われていることに人の心が感じられない。何も感じないロボットが行っていることのような気がする。
 昔からそういう人は存在したと思うけれど、その数が急速に増えている気がする。そういう人の予備軍が蔓延してきている気がする。


 便利さだけを追求してはいけない。得るものがあれば失うものがある。
 失うものをないがしろにした結果、心が失われたと私は思う。
 目の前にあるものが全てじゃない。その背景、長期的展望、心の揺らぎ。そんなものにもう少し心を傾けて行けたらいいなぁ、と思う。


 だからどうした!何が出来るんだ!っていう話しですけどね。
 別に何も出来やしませんよ。ただ、私はそう思う。強者の理論を振りかざし、自分だけが正しいと豪語する人たちを私は嫌悪する。目の前の利潤、自分だけの利益しか追えない人たちを軽蔑する。
 自分にそういう側面が全く無いかと問われれば、ちょっとイタイ気もするけれど、それでもそうはなりたく無いと、私は思う。