恋文
- 作者: 連城三紀彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1987/08
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 40回
- この商品を含むブログ (43件) を見る
もう、何度も何度も読んでいるのだけれど、またこの「恋文」を開く。
私はこの「響子」でありたいと思う。
意地っ張りで、やせ我慢して、しっかりものを演じ、最愛の人のために自分を押し殺し、それを自分の幸福に置き換えようとする人。
「将一」でありたいとも思う。
人の痛みを解りながらもわがままを通す人。そして、そのわがままいっぱいの道を全うすることが、その報いだと思う人。
でも、現実にはどちらも選べない。
やせ我慢して、にっこり笑うこと、もわがままいっぱいになることも。人を傷付けることも嫌だし、自分を押し殺すのも嫌だ。
どちらも潔いということなんだろう。
「恋文」を突き付けるように渡すことが出来る日が、くるのだろうか。それともその「恋文」をさらっと受け取れる日がくるのだろうか。
どちらも優しくて、強い人なのだと、私は思う。
そしてそのどちらにも私はなれない。