他人ごとだけどさっ。

 頭で考えることと、心が思うこと。これを一致させるっていうのは、なかなか難しいもんだな。
 私はもともと直情的なので、心が思った方向へあまり考えずに行動してしまう癖がある。それが欠点となることも多いので、もっと冷静に本質を見なければ・・・と思っていた。
 その結果、自分のことは相変わらず客観的に見れないのだけれど、他人のことはかなり冷静にというか冷徹に見ているような気がしていたんだけど。。。


 数日前、友人から電話が来た。いつもなら愚痴を聞いたり、落ち込んでいたら気晴らしに楽しい話しをしたりとそんな感じなんだけど、その電話は報告だった。
 その友人は仕事上、とても難しい立場にある。要するに板挟み。会社、部下、それと取引先、その三方から挟まれたような状態。見ているだけでも肩が凝る。
 報告というのは、その三方の取りまとめ方法だった。会社を説得し、部下を動かし、取引先にはこの条件を提示する。その提示を呑んでもらうためにまた説得し、ここで譲歩させ、会社側にも譲歩させる。
 私にとっては対岸の火事のような出来事だが、とても良い案だと思った。それが長い目で見て、信頼関係も崩さず、双方に利益が生まれる、そういう案だと思う。
 しかし、この調整過程を考えれば決して楽な道じゃない。そこには感情論も含まれ、調整するだなんて気の遠くなるような話しだ。調整役の精神的消耗も激しいだろう。
 私の頭の中は、その方法を取ることが一番良いと思うし、友人なら出来るだろう、と考えていた。
 しかし、心の中では、友人に掛かる負荷の大きさを考え、その消耗しきった姿を思い浮かべ、「そんなのやめちゃえ!」と思っていた。
 でも、その電話は相談なんかじゃない。私の意見を聞きたい訳じゃなかった。「そうすることに決めた」と。多分あれは決意のようなものだろうな。別に私には関係のない話しなのに、愚痴でも相談でもなく、わざわざ言うってことはそういうことなんだろう。


 あ〜もうバカっ!どうしてわざわざ、自分を追い込むようなことをするのかな。正義感もたいがいにしろ!別にあなたが疲れ果てるようなことしなくたって、なるようになるよ!そこまで責任感丸出しで仕事しなくたっていいよ!
 と、心の中では叫んでいたが、
「大変だと思うけど、誰かがやるしかないよね〜へこたれそうになったら、愚痴くらい聞いてあげるよ。」
 と冷静な頭はそう言った。
 冷静にそうは言ったんだけど、なんだか切なくなって実は涙出たんだよね。
 もっと心も冷静になれないもんかね。まだまだ修行が足りないな。。。