単なる愚痴

 年が明けてまだ雪がたっぷりあるころから、新しいシステムを導入する仕事を任されている。
 会社が国土交通省からのお達しで、そのシステムを導入せざるを得なくなったからだ。主要メンバーは私ともう一人だけ。あとは内容もよく解っていないお偉いさんがごにょごにょと口を出してくる。
 今まで行っていた通常業務が免除された訳じゃない。ただ単にプラスされただけ。
 私はSEでも何でも無いので、必要なシステムを考え、それをSEに伝えそのシステム導入後の問題点を洗い出し、打ち合わせをして各部署の調整を行う。
 そのシステムがようやくテスト段階で動かせるところまできた。
 ところが今日、そのシステムが親会社からストップが掛かってしまったのだ。
 全てストップという訳ではないけれど、親会社の意向を汲み取るのなら大幅な方向転換をせざるを得ない。
 半年以上もかけて準備してきたことが、半分無駄になろうとしている。


 う〜ん。。。 困りました。。。 脱力です。。。
 いや、方向転換せざるを得ないのは、百歩譲って良しとしましょう。親会社の言い分が解らない訳でもない。
 一番情けないのは、このテスト段階に来るまでのことを私ともう一人以外誰も知らないってことだ。どれだけの時間を費やして、苦労をしてここまできたのか誰にも理解されていないってことだ。
 このシステムは、何かが便利になる訳でも利益を生み出すものでもない。ただ国の方針で、やれと言われたからやっているだけ。
 誰もこんなシステム導入したい訳じゃない。私だってやりたくない。目先の仕事も忙しいし、面倒だし、なんの利点もないシステムだもの。それでも私ともう一人で膨大な労力を使ってここまできたのだ。
 ここまでくるのに、各部署に相談をしたり、打ち合わせをお願いしたりと何度もしたけれど、いつも面倒くさそうなイヤな顔をされ、「時間がない」と軽くあしらわれ、それでも前に進まない訳にもいかず、途方に暮れながらも進めてきた。
 本格的な稼働をしなければ、人の目にとまらないことは解っているけれど、目に止まらな過ぎて疎まれてきた。


 もうね。虚しいですよ。
 やったことが無駄になろうとしていることだけじゃない。やったことが誰にも理解されず、そして消えて行こうとしていることが。消さないためには、あと一踏ん張りしなきゃいけないのは、解っている。そうじゃないと、本当に無駄になってしまう。
 でもね。ここまでだってぎりぎりの状態でやってきている訳ですよ。まだ頑張らなきゃならないんでしょうかね。


 もう一人の人が
「転属願いだそうかと思ってる。そうすればこのシステムから離れられるかな、と思って……」
 そう真顔で言われた時は、思わず「私もそうしようかなぁ」と、言ってしまいました。。。