訃報
知り合いの訃報を聞いた。
もう一週間ほど前に亡くなったのに今日まで知らなかった。病気だったらしいが詳しいことは解らない。
その方は5年ほど前に仕事を通じて知り合った。4年ほどは年賀状のやりとりしかしていない。その間に私が転勤になったということもあって近況は何も知らなかった。
心がぽつんとする。素敵な方だった。
まだ47歳。お子さんが4人いて、多分一番上の子は中学生くらいだろう。末の子はもう小学校に上がったのだろうか。おっとりとしたお嬢様風なんだけど、芯のしっかりとした奥様がいた。あの奥様が4人の子供を抱えてこれからどうするのだろう、と他人事ながらに思う。きっと一度も働いたことなどないだろう。
子供たちは皆礼儀正しく、でもやはり子供だから少し騒いでしまうこともあるんだけど、そうすると奥様が「お父様に叱られるわよ」などと言う。すると子供たちの背筋が伸びる。しかし、ご主人は一度も叱ったことなど無いような雰囲気でいつもにこにことしていた。
家にはテレビが無く、聞いてみると「子供たちに見せたくないから」とのことだったけれど、それを声高に言う訳ではない。
世間は世間。我が家は我が家。
今どき珍しくご主人が家長としての威厳を保ち、しかしそれは押し付けや傲慢さではなく、優しさと厳しさを合わせ持った人だったのだろう。人に流されることはなく、でも聞く耳は持ち、物腰の柔らかい強い人だった。あの家族を見ていたらそういう人だったのだ私は感じた。
深いお付き合いをした方では無かったけれど、やはり心がぽつんとする。
ご冥福をお祈り致します。