散歩

 先日、お天気の良い日にドライブに行った。
 本当は二人ともちょっと二日酔い気味で、家でのんびりと過ごしても良かったのだけれど、二人揃ってお休みでゆっくりと会うことがなかなか出来ないから、その日はドライブに行こうって前々から約束していたのだった。
 前々から約束をして、ドライブに行くだなんてなんだか格好わるい。もっとさらりと一緒の時間を過ごしたいのだけれど、それは難しい。えいっ!!と力を入れて一緒に過ごす。
 手をつないで、公園を散歩した。水が流れていてその廻りの空気はひんやりとしている。日々の喧噪も木々が吸い取るように心が静かになって、ただ黙って歩いた。つないだ手は温かく、風は静かに流れ、何もない時間が過ぎる。
「もうこんな時間を過ごすことはないだろう」
 ふとそんなことが頭をよぎる。
 いや、あるのかもしれない。けれど、やっぱりないだろうな、と思う。
 もう何年も前、花の咲き乱れる公園をそのときもやっぱり手をつないで歩いたことがあった。初夏に咲く花々は小雨に濡れて美しかった。
 あの時の、ふんわりとした時間はもう二度とないだろう。そして水辺の公園で過ごした、しんとした時間もまた二度とないのだろうと思う。